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大阪地方裁判所 昭和56年(わ)875号 判決

本籍

大阪府豊中市新千里南町二丁目二五番地の一四

住居

同市同町二丁目二五番一四号

衣料品販売業

神森久忠

昭和一一年一二月二二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官加藤友朗出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金一、二〇〇万円に処する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

被告人において右罰金を完納できないときは、罰金額中五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪市東区船場中央四丁目一番地船場センタービル八号館二七三号において、衣料品販売業を営むものであるが、所得税を免れようと企て、

第一  昭和五二年分の所得額が三五、九八三、二六〇円で、これに対する所得税額が一五、五七一、八〇〇円であるのにかかわらず、売上の一部を除外し、よって得た資金を仮名の定期預金として留保するなどの行為により所得を秘匿した上、同五三年三月九日、大阪市東区大手前之町一番地所在東税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が六、八三三、〇七〇円で、これに対する所得税額が一、〇六三、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、所得税一四、五〇八、三〇〇円を免れ

第二  昭和五三年分の所得金額が三八、七四二、九九三円で、これに対する所得税額が一七、一六八、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同五四年三月九日、前示税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が六、八四一、二九三円で、これに対する所得税額が一、〇五六、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税一六、一一二、四〇〇円を免れ

第三  昭和五四年分の所得金額が七六、九一二、一二六円で、これに対する所得税額が二六、三六九、五〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同五五年三月五日、前示税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が三八、四八九、五〇三円で、これに対する所得税額が七、四九四、三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税一八、八七五、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人の当公判廷の供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書(請求番号五七、五八)

一  被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書(同四五ないし五五)

一  被告人作成の確認書(同四四)

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(同七、八、一〇ないし二〇、四二、四三)

一  神森淹江、長尾守恭、神森忠教、神森忠興、神森巴、久保盛太郎、上岡澄子の大蔵事務官に対する各質問てん末書(同二三ないし三三)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同一)

一  被告人作成の昭和五二年分所得税確定申告書謄本(同四)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同二)

一  被告人作成の昭和五三年分所得税確定申告書謄本(同五)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同三)

一  被告人作成の昭和五四年分所得税確定申告書謄本(同六)

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(同九、二一)

一  露口久夫、中野周太郎、桜井勝、辻伸晃、神森仁司、岡野収の大蔵事務官に対する各質問てん末書(同三四ないし四一)

(法令の適用)

被告人の判示第一ないし第三の所為は、いずれも昭和五六年法律第五四号附則五条により同法二条一項による改正前の所得税法二三八条に該当するので、各罪につき懲役及び罰金を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により最も重いと認める判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一〇月に処し、同法二五条一項一号によりこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、罰金刑につき同法四八条二項により第一ないし第三の罪の所定罰金額の合算額の範囲内で被告人を罰金一、二〇〇万円に処し、同法一八条により被告人において右罰金を完納することができないときは、罰金額中五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 加藤光康)

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